相続財産の対象と分け方について
■相続財産の対象
相続では、亡くなった方の一切の権利義務が承継されます。そのため、原則としては、亡くなった方の全ての財産が相続財産となります。つまり、プラスの財産はもちろん、マイナスの財産も相続財産に含まれます。
プラスの財産の具体例として、土地や建物等の不動産、不動産に関わる権利(賃借権等)、銀行預金や有価証券、動産、ゴルフ会員権・著作権等の権利があります。
マイナスの財産としては、借金等の負債、未納分の税金等があります。
相続財産に含まれないものには、被相続人の一身専属権、生命保険金、祭祀に関する権利があります。
一身専属権とは、その特定の個人にしか認められない権利のことをいいます。例えば、代理権や不要請求権、使用貸借権等がこれにあたります。
生命保険金は被相続人の権利ではなく、契約に基づいて受取人が取得する権利です。そのため、被相続人の権利とは認められず、相続財産に含まれません。ただし、相続税の課税対象となる場合があります。
祭祀に関する権利の例として、仏壇や位牌、墓石が挙げられます。これらの権利は相続財産には含まれません。
■相続財産の分配方法
相続人が複数人いる場合、各相続人の相続割合は民法の規定や遺言書によって決定されます。
遺言が作成されていない場合には、民法にしたがって相続人が決定します。子の相続人のことを法定相続人といいます。
法定相続人となる可能性があるのは、被相続人の配偶者・子・直系尊属・兄弟姉妹です。配偶者や子は必ず相続人となりますが、直系尊属や兄弟姉妹は相続人になる場合とならない場合があります。被相続人に子がいなかった場合には直系尊属が、直系尊属もいなかった場合には兄弟姉妹が相続人となります。
つまり、法定相続人の組み合わせとしては、配偶者・子・直系尊属・兄弟姉妹のいずれかが相続人になることのほかに、「配偶者+子」、「配偶者+直系尊属」、「配偶者+兄弟姉妹」という組み合わせが考えられます。
法定相続人が複数人いる場合、その相続割合が定められています。①被相続人が「配偶者+子」の場合は1:1、②被相続人が「配偶者+直系尊属」の場合は2:1、③被相続人が「配偶者+兄弟姉妹」の場合は3:1の割合で相続することになります。
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