不当解雇が認められるケース
■解雇の条件
法は、労働契約期間の満了前に労働者を解雇することを厳しく制限しています。労働基準法は就業規則に解雇の事由を記載することを義務付けており、就業規則に記載された事由以外の理由に基づく解雇はできません。また、仮に就業規則に記載された事由に基づく解雇であったとしても、解雇に「客観的に合理的な理由が」あり「社会通念上相当」と認められなければ、解雇は無効です(労働契約法16条)。
「社会通念上相当」の意義は厳格に解されており、形式的に解雇事由にあてはまるだけでは足りず、社会通念に照らし合わせても「解雇もやむを得ない。」と言える実質的な理由が必要です。
■解雇の手続き
労働基準法20条は、使用者が労働者を解雇する場合には、30日前に解雇予告をするか、30日分以上の賃金(解雇予告手当)を支払うことを義務づけています。
ただし、天変地異など不可抗力にもとづく突発的な理由で事業継続が不可能になった場合や、労働者の責めに帰すべき事由に基づく解雇(懲戒解雇)の場合は例外的に即時解雇が認められています。もっとも、天変地異や懲戒解雇の場合であっても即時解雇が認められないケースもあります。解雇予告義務に使用者が違反していた場合には、労働者は解雇無効か解雇予告手当の支払いのいずれかを選択的に主張できます。
また、懲戒解雇の場合には解雇理由を告知し、労働者に弁明の機会を与えるなど、適正な手続きを尽くさなければなりません。
■解雇無効
解雇に十分な理由がない場合や解雇手続に問題があった場合は、裁判で不当解雇であると認められる可能性があります。この場合、解雇は無効として扱われます。使用者は労働者を職場に復帰させなければならず、また解雇期間中の賃金を支払う義務が生じます。また賃金とは別に損害賠償を請求することもあります。もっとも、使用者側に敗色が濃厚な場合や相手方が裁判をしたくない場合には使用者から労働者に和解金が支払われ、裁判以外の方法解決することもあります。
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