個人再生をしたらローン返済中の車はどうなる?
債務整理手続きを利用すると、財産を差し押さえられてしまうという漠然としたイメージを持たれている方がいらっしゃいます。
しかしながら、財産の差押えがあるのは自己破産と個人再生における一部の手続きを利用した場合のみとなっております。
本記事では、個人再生をした場合の、ローン返済中の車の取り扱いについて詳しく解説をしていきます。
◆ローン返済中の車は残すことができる
個人再生を利用した場合で、ローンがまだ残っている車がある場合に、車を手元に残すためには、ローン契約の内容が重要なものとなります。
自動車ローンには、所有権留保が設定されている場合があります。これはローンを支払っている間は、車の名義がローン会社となっており、完済後に自分名義に変更することができるものです。
そのため、所有権留保が設定されている場合には、個人再生によりローンの残債が支払えなくなるため、ローンの規約により車が引き上げられてしまいます。
所有権留保が設定されるものの典型としては、ディーラーや中古車販売店で購入したものが一般的となっています。
◆個人再生が車に与える影響
所有権留保のついていない車やローンを完済している車については、個人再生を利用しても手放す必要はありません。
個人再生を利用すると再生契約という今後の弁済の計画が作成されることとなります。
この再生計画の弁済額は3つの基準の中から、もっとも高額なものが適用されることとなります。
3つの基準は以下の通りとなっています。
・個人再生における減算基準額(最低弁済額)
・可処分所得の2年分の金額(給与所得者のみ利用可能)
・清算価値の金額
この中で注意しなければならないのが、清算価値の金額です。
個人再生には清算価値保障というものがあり、自己破産を想定した場合に、債権者に分配されていた弁済額については支払わなければならないものとなっています。
この清算価値は、本人が所有している財産をもとに計算をすることとなります。
この際に車は計算対象の財産となるため、清算価値の金額が高額になってしまう可能性があります。
特に車は査定額が高額となる傾向があり、高級車を所有している場合には注意が必要となります。
そして、再生計画に基づく弁済額が支払えない場合は、裁判所の命令により車を売却しなければならない可能性があります。
◆所有権留保の車を手元に残す方法
所有権留保のついている車であっても、どうしても手放したくない、手放すことのできない事情があるという方もいらっしゃるでしょう。
そこで、所有権留保のついている車を手元に残す方法について解説をしていきます。
●第三者弁済を利用する
どうしても自動車を手元に残したいからということで、個人再生を利用する前に、車のローンのみを一括返済するという方法を考えつく方もいらっしゃると思います。
しかしながら、このような特定債権者だけに優先返済をする偏頗弁済(へんぱべんさい)と呼ばれるものであり、固く禁じられています。
そこで、第三者弁済を利用することで、車を手元に残すことができます。第三者弁済は名前の通り、第三者が自動車ローンを本人の代わりに支払う返済方法となっています。
第三者弁済は、親や兄弟などに依頼をするのが一般的となっています。
しかしながら、同居している家族に依頼をしてしまうと、家計が同一であるという理由から、家族が支払った場合であっても本人が支払ったものと変わらないとして、偏頗弁済とみなされる可能性がある点には注意が必要となります。
●ローン会社に別除権協定を認めてもらう
別除権協定とは、ローン会社と支払いの約束をすることで、車の引き上げをしないようにお願いする協定のことをいいます。
本来はローン会社にのみ返済を行うことは偏頗弁済とされると上記で説明をしましたが、この別除権協定は極めて例外的な措置となっています。
この協定が認められるケースは非常に限定されており、運送関係の仕事をしているため、車がないと収入を得られず、債権者への返済を続行することができなくなり、不利益を与えてしまうような場合などが典型例となっています。
●任意整理を行う
任意整理は債権者と交渉を行い、利息や遅延損害金をカットした上で、元金のみの返済を行う債務整理手続きです。
返済を続けるという点では個人再生と同じですが、任意整理の場合には裁判所を介入させる必要がなく、なおかつ任意整理は特定の借入先のみの債務を減額することができるため、自動車ローンを任意整理の対象から外すことによって、債務を減額しつつも車を手元に残すことができます。
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