【弁護士が解説】遺留分を請求されたらするべきこととは
遺留分を請求されてしまった場合にはどのように対処をすれば良いのかといったご質問をいただきます。
遺留分侵害額請求とは、遺留分減殺請求から改正されたものであり、贈与や遺贈を受けた者が上記請求を受けても、現物の返還をする必要がなくなり、金銭の支払いのみにより解決が見込めるものとなっています。
当記事では、遺留分侵害額請求について詳しく解説をしていきます。
◆遺留分侵害額請求とは
遺留分とは、ある相続人が被相続人の財産から法律上取得することができる最低限の取り分のことを指します。この取り分は、被相続人が生前に贈与や遺贈を行なったとしても、これによって奪われることのないものとなっています。
もし被相続人が遺留分権利者以外に贈与や遺贈を行い、遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合であっても、侵害額に相当する金銭の支払いを他の相続人に対して請求することができます。
これが遺留分侵害額請求です。
遺留分侵害額請求をすることができるのは、兄弟姉妹以外の相続人か遺留分を侵害された者の承継人(相続人、相続分譲受人)のみとなっています。
◆遺留分を請求された場合の対処法
①まずは相手が遺留分を請求することができるかを確認する
上述の通り、遺留分を請求できるのは兄弟姉妹以外の相続人か遺留分侵害者の承継人となっています。
そのため、兄弟姉妹や遺留分放棄をした者、相続欠格者は請求をすることができないため、請求者がこれらのいずれかにあたらないかまず確認をしておきましょう。
また、相手が請求することができる場合であっても、遺留分侵害額請求の時効が成立していないかも確認をしておく必要があります。
遺留分侵害額請求の時効は、相続開始と遺留分の侵害をするような贈与や遺贈があったことを知ってから1年以内という主観的要件と、相続開始から10年という客観的要件のいずれかとなっています。
相手に請求権があり、なおかつ消滅時効も成立していない場合には、相手の請求している額が正当なものかを確認しておきましょう。
遺留分侵害額の計算方法は以下のとおりです。
相手方の遺留分=遺留分の基礎となる財産×相手方の個別的遺留分割合
遺留分侵害額=相手方の遺留分−(相手方の特別受益財産額+相手方の遺贈財産額+相手方が相続によって得た財産額)+相手方が負担すべき相続債務額
もっとも遺留分侵害額の計算は非常に難しいものとなっているため、遺留分を請求されてしまった場合には、専門家に相談し、正確な侵害額を計算してもらうことをおすすめいたします。
②正当な遺留分であることが分かった場合には支払うもしくは交渉する
相手の請求する遺留分が正当な額であることがわかった場合には、請求を受け入れて支払いをするか、交渉をするかのいずれかとなります。
どうしても支払うことが難しい場合には、交渉によって減額や請求を取り下げてもらうようにします。
ここで注意しなければならないのが、遺留分侵害額が正当なものである場合には、減額をすることができないという点です。
さらに相手が取り下げてくれない場合には、支払いに応じるほかありません。
③すぐに支払うことができない場合は、支払い期限の延長
相続や遺贈により財産を得ていても、その財産がすぐに換金できなかったり、請求に応じるだけの現金が手元にない場合には、裁判所に支払い期限の延長を求めることができます。
裁判所は申立人の資力や不動産売却に必要となる期間をもとに、延長を許与するかどうかを判断します。
延長が認められた場合には、本来支払うべき遅延損害金の支払い義務がなくなります。
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弁護士紹介
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- 弁護士
- 野口 新(のぐち あらた)
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- 所属
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- 愛知県弁護士会
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- 経歴
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愛知県出身。私立東海高校から一橋大学法学部へと進学。大学を卒業後は、弁護士になるべく励み、平成18年司法試験合格。平成20年弁護士登録。
名古屋市内の弁護士事務所に入所し、3年ほど務めた後、村上弁護士・加藤弁護士が立ち上げていた事務所に合流する形で独立。
現在は「村上・加藤・野口法律事務所」にて、様々な問題に対応している。
事務所概要
事務所名 | 村上・加藤・野口法律事務所 |
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所属 | 愛知県弁護士会 |
弁護士 | 野口 新(のぐち あらた) |
所在地 | 〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内2-2-7 丸の内弁護士ビル802 |
電話番号 | 052-265-6534 |
対応時間 | 平日 9:00~18:00(事前予約で時間外対応可能) |
定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日対応可能) |