介護をしてきたら寄与分として認められる?要件や必要な証拠とは
相続において、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人がいる場合、その貢献は寄与分と評価され、法定相続分に加えて寄与分に相当する財産を取得することができます。
この記事では、介護における寄与分とは何か、また寄与分が認められるために必要な条件と必要な証拠について解説します。
介護で寄与分が認められる条件とは?
寄与分が認められるためには、単なる扶養義務の範囲を超えた「特別の寄与」があったと認められなければなりません。
「特別の寄与」とは、被相続人の財産の維持または増加に対して、通常期待される程度を超える貢献を意味します。
必ずしも金銭的な支援を伴う必要はありません。
介護についていえば、長期間にわたり無償で自宅での献身的な介護を行うことで、本来かかるはずだった介護施設利用料やヘルパー費用などの支出を抑えられた場合などは、財産維持への貢献とみなされ「特別の寄与」があった場合に該当する可能性があります。
どのような介護行為が「特別の寄与」に該当するか
具体的な介護行為が「特別の寄与」と認められるためには、具体的に以下の要件を満たす必要があります。
■無償性
介護に対する対価を受け取っていないこと
■継続性・専従性
長期間にわたり、片手間ではなく継続的かつ集中的に介護を行ったこと
■通常期待される程度を超える行為
親族としての扶養義務の範囲を超えた、献身的な介護であること
■被相続人の状態
被相続人が療養看護を必要とする状態であったか(要介護認定の有無や程度が参考になる)
また、外部の介護サービスを利用していた場合でも、その費用を特定の相続人が負担していたり、外部サービスでは賄えない部分を献身的に介護していたりなど上記の要件を満たす場合には、寄与分が認められる可能性があります。
寄与分を請求するために必要な証拠
具体的な介護行為が「特別の寄与」にあたると主張するための証拠としては、以下のようなものが有効です。
■介護を行った日時、内容、被相続人の状態などを詳細に記録した介護日誌・ノート
■写真・動画などの介護の様子や被相続人の状態がわかるもの
■要介護認定の資料や医師の診断書など、被相続人の健康状態や介護の必要性を示すもの
■(外部サービスを利用していた場合)ケアプラン、サービス利用票、領収書などの介護サービスの記録
まとめ
介護による貢献を相続に反映させる「寄与分」は、被相続人の財産の維持または増加に対する「特別の寄与」があった相続人に認められる制度ですが、要件が厳しいため認められるためには、日々の証拠集めが重要になります。
証拠集めが十分か不安な場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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