自己破産をした場合に家族に影響するもの・しないもの
自己破産を検討しているが、家族に迷惑をかけたくないといった方からのご相談を多く受けます。
本記事では、自己破産で家族に影響するものとしないものをそれぞれ紹介していきます。
◆自己破産による家族への影響
①持ち家や車がなくなる
自己破産を行うと、ローンの残っている車や持ち家が差し押さえ対象となってしまいます。
中古車は登録から7年以上が経過している場合、ローンが残っていない場合には自動車の価値がゼロと判断され、手元に残せることが多くなっています。
他方で高級車や新車の場合には、価値があると判断されるため、売却の可能性が高くなっています。
車が差押えられてしまうと、通勤や子どもの送り迎え、家族でのお出かけなどに影響を与えてしまいます。
もっとも、家族名義の自動車であれば差押えの心配はありませんが、車検証の提出が必要となることがあります。
また、持ち家などの不動産は少なくとも100万円以上の財産価値があります。
そのためほぼ確実に持ち家を手放すことになります。
持ち家を手放した場合には、引っ越しなどが伴うため、子どもの転校が必要となり、家族に大きな影響を与える可能性があります。
②現金も差押えの対象となる
手持ちの現金が99万円を超える場合には、債権者へと現金が配当されることとなります。
他方で99万円以下の現金であれば自由財産となるため、引き続き利用が可能となります。
どうしても現金が必要な場合には、裁判所や管財人などの許可を得ることで手元に残す手段もあります。
手元に残したい財産がある場合には、自己破産の相談の際に専門家の方としっかり話し合いをしておきましょう。
③家族に保証人がいる場合には、返済義務が発生する
自己破産の効果は破産した本人のみ生じるものとなっています。
家族が借金の保証人になっている場合には、自己破産をすることで保証人に返済義務が発生することとなります。
特に連帯保証人の場合には、一括で請求がくるため注意が必要となります。
もし自己破産を考えており、家族に保証人がいる場合には、しっかりと相談をしておくことが大切です。
④家族カードが使えなくなる
自己破産をした場合には、破産者本人の名義のクレジットカードは使えなくなります。
これは家族カードとして利用している場合であっても、名義が破産者のものとなっている場合には、家族カードも利用することができなくなります。
そのため、公共料金の支払いなどが全て現金での支払いとなってしまうため注意が必要となります。
⑤保険が解約される
生命保険や学資保険などの契約をしている場合には、20万円以上の解約返戻金のある保険は全て解約となります。
保険の解約返戻金も自己破産の差押え財産の対象となっているからです。
特にこれから進学予定のあるお子さんなどがいらっしゃる場合には、返戻金が20万円以上となっていることが多い、学資保険は解約しなければならないため注意が必要となります。
こちらもどうしても残しておきたい場合には、専門家に事前に相談をしておきましょう。
◆自己破産に影響がないもの
①婚姻関係
自己破産をしても婚姻関係に影響を与えることはありません。
自己破産を利用すると戸籍謄本に家族であっても記載されることがあると勘違いをしていらっしゃる方がいますが、戸籍や住民票に自己破産をしたことが記載されることは一切ありません。
②就職
自己破産によって職業制限を受けるのは本人のみとなっています。
また、職業制限の対象も弁護士や税理士などの士業や、警備員、宅地建物取引主任者などの一部資格が必要となるものに限られています。
そのため、ご家族の方が就職の際に影響を受けるということはありません。
③信用情報
信用情報についても、事故情報が記録されるのは破産者本人のみとなっているため、家族が影響を受けることはありません。
そのため、破産者以外の家族の方がクレジットカードを作成したり、ローンを組んだりすることは可能となっています。
もっとも、金融機関によっては家族の事故情報を照会することもあり得るため、審査に通らないといったことも考えられます。
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